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DNAR(Do Not Attempt Resuscitation) の用語について

2017年の日本集中治療医学会雑誌から倫理委員会より報告があった。

話始めると止まらないくらい膨大な量になりそうなので用語についてのみ重要なところを簡単にまとめる。

 

目次

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1 DNARの今までについて軽く

2 DNR?DNAR?AND?

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1 DNARの今までについて軽く

心肺蘇生の歴史の始まりは1960年代にさかのぼる。

これが日常的に医療現場で使用されることである疑問が生じた。

 

蘇生の可能性がないのに蘇生すべきか

 

である。

 

今の医療ではほぼ当たり前のようにDNARは使用されているが、これが初めて指示として用いられるようになったのは1974年に公表された『Standards for CPR and emergency cardiac care』からである。

 

1991年にAMA(American Medical Association)が公表したDNR指示に関するガイドラインでは、心停止に関して患者と医師が事前に話し合いをもつことの必要性や指示は患者の願望(prefererence)に基づくべきであることなどが記載されるようになった。

さらに、ここで強調しておきたいこととして以下がある

 

DNR指示は心停止時のみ有効であり、その他の治療内容に影響を与えてはならない

 

ということである。

このガイドラインDNR指示の考え方の基本を提示しているという意味で非常に重要なものとなる。

 

 

2 DNR?DNAR?AND?

まずDNRについてであるが、Orders not to resuscitate、つまりCPRを実施しないという意味で1970年代からDNR指示は用いられてきた。

 

1989年に指摘されたのが、DNRの解釈として、心肺蘇生を施行すると蘇生が成功するため心肺蘇生を行ってはいけないという解釈もできるのでは?、というところである。しかし、そもそもDNRは心肺蘇生を行っても蘇生しない患者を対象とするものである。

なので、成功するかもしれない蘇生行為をあえて試みることはいけない、という意味合いで登場したのが

Do Not Attempt Resuscitation : DNAR

である。

 

ただなんとなくわかるであろうがこの『あえて試みるな』というところに違和感を覚える。なのでGuidelines 2010ではDNARに変わりつつある用語としてAND(Allow Natural Death)が紹介されている。

 

ANDはintermediate support-AND と comfort support-AND に分類される。

前者は心停止時にCPRを施行せず、心停止に至る前にはすべての医療・看護処置を実施するものでDNAR指示と同じである。

後者は緩和医療を実施して、CPRに加えてすべての医療処置と治療を差し控えるものであり、日本で言うところの終末期医療とほぼ同意である。

 

一方でPartial DNRという用語もある。これは心停止時に何をするかを事前に決めておくものであり、例えば挿管はする、とかボスミンは投与するけど挿管はしないとかなどである。ただこの用語を使用するとごちゃごちゃになってしまうのであまり使用しない方がよいとされている。