Puritan Bennett™ 840 の ライズ(%) の計算方法
集中治療領域でよく使用されている人工呼吸器
設定の中にすべての人工呼吸器にあるが、ライズタイムというものがある。
いわゆる立ち上がり時間である。
文字通り時間なので基本的には秒で設定するものなのだが、Puritan Bennett™ 840に関しては%で設定する。
この計算方式について書いておきたいと思う。
そもそもこの立ち上がり流量%のことを
Flow Acceleration Percent (FAP)
と呼ぶらしい。
どの程度の速さで吸気圧力を高めるかを調整するものである。
%の数値が大きいほど吸気圧がターゲットとしている圧に達するまでの度合いが速くなる。
①PCVにおけるFAP 1%の場合
PC+PEEPの95%までを 2秒 or 2/3 Ti(吸気時間) の短い方の時間で立ち上げる。
PCV 20cmH2O Ti:1secでは
20cmH2O × 0.95 = 19cmH2O までを 1 × 2/3 = 0.66sec で立ち上げる。
②PCVにおけるFAP 100%の場合
PC+PEEPの95%までを 50msec で立ち上げる。
PCV 20cmH2O Ti:1secでは
20cmH2O × 0.95 = 19cmH2O までを 0.05sec で立ち上げる。
PCVでのRiseにおいて1%~100%ではリニアに動くので、例えば50%の場合は
50 + (660-50) ÷ 2 = 355msec
となる。
③PSVにおけるFAP 1%の場合
PS+PEEPの95%までをIBW(入力した体重)から想定された吸気時間のTi超過アラームリミットの40%の2/3の時間で立ち上げる。
PSV 20cmH2O BW:70kgの人では
(70 × 0.02) + 1.99 = 3.39sec がTi超過アラームのリミットとなる。
この0.02と1.99は定数である。
3.39 × 0.4 × 2/3 = 0.903 sec になるので 0.903secで立ち上げることになる。
④PSVにおけるFAP 100%の場合
これはPCVと同様で 50msec で立ち上げる。
PSVのときも同様に1~100%の間はリニアに動く。