陽性的中率と有病率
検査には偽陽性と偽陰性が存在するため、”検査が陽性であれば疾患がある”や”検査が陰性であれば疾患がない”と結論づけることはできない。
感度と特異度に関しては前の記事で学びました。
感度が高い検査は偽陰性が少ない
特異度が高い検査は偽陽性が少ない
でした。
今回は前回の続きで陽性的中率と有病率の関係について書きます。
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目次
1 陽性的中率と有病率の関係
2 具体的には?
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1 陽性的中率と有病率の関係
まず陽性的中率を求めてみる
まず感度90% 特異度90% で疾患ありが100人で疾患なしが100人のとき
このとき
陽性的中率 = 90/100 = 90%
となる
次に感度90% 特異度90% で疾患ありが100人で疾患なしが500人のとき
陽性的中率 = 90/140 = 64%
この2つの例で感度と特異度が全く同じであるのに差が出た理由は
有病率が2つの例で異なるからである。
1つ目の例では有病率は 100/200 = 50%
2つ目の例では有病率は 100/600 = 17%
となる
つまり、陽性的中率は有病率に左右されるという特徴があるのである。
これをみればわかる。
これをみて注目してほしいのが
有病率が低くなると陽性的中率が非常に低下するところである。
この偽陽性の増加は稀な疾患のスクリーニング(例えば大腸がんなど)や検診で問題となる。
さらに検査の無差別な濫用は有病率の低い集団への実施になるので多くの偽陽性を生じることになる。
2 具体的には?
例えば、がん検診。
癌になる人ってかなり少ないですよね。つまり有病率が低い。
先ほどのことがわかっていれば、有病率が低いときは陽性的中率が低いことが理解できます。
なので、
がん検診で陽性だったからといって入院せずに精査して確定診断に進むわけです。
というようにひとつひとつ理解していけば検査の意味もわかってくると信じてます。